所有権移転登記を自分で申請する方法

不動産の購入や売却を行う際、「所有権移転登記」を行う必要があります。

この手続きを行うことで、不動産の所有者としての権利を公的に証明することができ、第三者からの所有権主張に対するリスクを回避することが可能になります。

不動産登記を専門家に依頼する方法が一般的ですが、自分で行うことも可能です。

どこんじょう母さん

私でもできました!

これから初めて不動産登記に挑戦する方や、節約を目的として手続きを実施したい方はぜひ、参考にしてください。

目次

所有権移転登記の基礎知識

所有権移転登記とは何か?

所有権移転登記は、不動産の所有権が移転したことを公に証明するための手続きです。

不動産登記制度に基づき、土地や建物などの登記簿に売買契約や相続、贈与といった理由での権利変更を記録します

この記録によって新たな所有者が正式に認められるため、第三者から所有権の主張を受けた場合でも権利を守ることができます。登記は公的な効力を持つため、不動産の売買や相続時にはとても重要な役割を果たします。

民法176条

「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。」と定めてあり、登記名義を移転させなくとも合意があれば所有権は移転することになります。

一方で、相続登記は2024年4月1日から義務化されました。

相続などで所有権を取得したことを知った日から3年以内に、正当な理由なしに申請を怠ると10万円以下の過料となります。

あわせて、住所変更登記は、所有権登記名義人の住所や氏名に変更が生じた場合、変更の日から2年以内に変更登記しないと5万円以下の過料となりますので気をつけましょう。

所有権移転登記が必要な場面

所有権移転登記は、不動産の売買契約を行った際、贈与を受けた場合、または相続を通じて不動産を取得した場合など、所有権に変動があった際に必要です。

特に不動産売買の場合、物件を購入した時点で所有者変更の登記を行わないと、購入者が正式な所有者として認知されません。

また、登記を怠ることで、悪意のある第三者が所有権を主張するリスクも高まります。
そのため、権利を確実に保護するためにも、所有権移転登記は速やかに実施しましょう。

専門家に依頼しない場合のメリットとデメリット

所有権移転登記を専門家に依頼せず、自分で手続きを行う場合には、いくつかのメリットとデメリットがあります。

メリット

司法書士への依頼料を節約できる

特に登記費用全体が高額になる場合、専門家の手数料を削減することで費用を抑えることが可能です。
また、自分で手続きを進めることで、不動産登記のやりかたなどの知識を学ぶことができる点も魅力です。

デメリット

必要書類の準備や手続きの流れを正確に把握するために時間や労力がかかること

記載ミスや不備のある書類で手続きを進めた場合、法務局に却下される可能性があり、再提出に時間がかかることもあります。

特に、不動産登記はその不動産の所在地での登記になります。
遠方の場合は再提出が生じるごとに往復しなくてはいけないため、費用と時間がかかります。

このため、時間に余裕がない場合や手続きに自信がない場合には、専門家への依頼を検討することも一つの選択肢です。

どこんじょう母さん

私も2回やりなおし、3回目で無事に受理されました。

自分で申請する際の注意点

自分で所有権移転登記を申請する際には、いくつか注意点があります。

まず、必要な書類を漏れなく揃えることが重要です。
登記原因証明情報や売買契約書、住民票などの書類に加え、登録免許税の正確な計算が求められます。

これらの書類に不備があると申請が受け付けられない場合があります。

また、不動産登記においては法的用語や専門的な記載が必要な場面も多いので、法務局の窓口で十分に相談したり事前に下調べが必要です。

さらに、申請期限を守ることも重要です。

不動産売買契約などの場合、所有権移転登記を放置すると、後々トラブルになる場合もあるため、契約後速やかな対応が求められます。
誤りを防ぎ、スムーズに手続きを完了するためには、ガイドラインや事例をしっかり確認することをお勧めします。

事前準備:手続きに必要な書類と情報

必要書類のリストと購入方法

所有権移転登記を行うためには、いくつかの書類を事前に揃えておく必要があります。

以下に主な必要書類をリストアップします。

売主側
  • 対象の不動産の登記識別情報通知、または登記済権利証
  • 固定資産税評価証明書(最新の本年度のもの)
  • 印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)
  • 免許証などの本人確認書類
  • 住民票(登記住所と現住所が異なる場合)
買主側
  • 印鑑証明書
  • 住民票
  • 免許証などの本人確認書類

それに加えて、売り主の実印が押されている売買契約書が必要になります。
これらの書類は、不動産売買に基づく登記手続きに欠かせません。

それぞれの書類の取得について、少し詳しく解説いたします。

対象の不動産の登記識別情報通知、または登記済権利証

登記識別情報通知は、登記済権利証に変わるもので、不動産の名義変更があった場合に登記所から通知されます。

通常は所有者本人しか持っていない情報(書類)で、再発行ができないため、万が一紛失していた場合は別の手段で本人確認を行います。

固定資産税評価証明書

固定資産税評価証明書は市役所などで取得可能です。

取得できる人
  • 所有者本人
  • 本人と同居の親族
  • 所有者の委任状を持参した代理人

代理人の場合は委任状を作成する必要があり、所有者の印鑑と署名が無いと受理されません。

土地と建物どちらも取得の場合は、それぞれ必要になります。

不動産売買契約書

最後に、一番重要な不動産売買契約書についてです。

こちらは通常司法書士が作成するもので、一般の方には馴染みのない書類ですが、契約の内容についての重要な記録にもなりますのでしっかり作っておく必要があります。

WONDER.LEGAL」では法的文書を簡単に作成できます

所有権の移転の項目で、移転時期は契約により異なりますが一般的なものは売買契約時に所有権も移転するパターンです。

詳しくはこちらのサイトを参考にしてください。

不動産売買契約書は、売り主と買い主がそれぞれ持つ原本の他に、法務局に提出する際には原本証明も提出します。

STEP
原本の写しを用意する

写しはA4で白黒コピーで問題ありません。
必要があれば左側に箇所にホチキス留めか製本します。

STEP
契印する

すべての綴じ目に押印、袋とじの場合は裏表だけに契印を押します。

STEP
原本と相違がないことを記載

最後の余白に「原本と相違ないことを証明する」と記載し、日付と記名をします。

登記を行う不動産の確認

所有権移転登記を申請する前に、まず対象となる不動産の詳細をしっかり確認しておくことが重要です。

不動産の詳細情報は、登記簿謄本(登記事項証明書)を取得することで確認できます。
この証明書には、不動産の所在地、地目、面積、現所有者の氏名などが記載されています。

不動産の確認を怠ると、誤った情報で登記申請をしてしまう可能性があり、申請が却下されるリスクも生じます。

また、不動産が共有持分となっている場合や、抵当権が設定されている場合など、細かい注意が必要なケースもありますので、登記簿をよく確認することが大切です。

登記簿謄本の取得は、不動産が所在する地域の登記所(法務局)で行うことができます。
また、一部の法務局ではオンラインでの取得も可能です。

登録免許税の計算方法

登録免許税とは、所有権移転登記を申請する際に課される税金です。

この金額は、不動産の固定資産評価額に基づいて計算されます。
具体的には、登録免許税は以下の計算式で求められます。

 登録免許税 = 不動産の固定資産評価額 × 税率

なお、税率は物件の種類や取引内容により異なります。

例えば、不動産の売買での所有権移転登記の場合、一般的な税率は0.4%ですが、条件によって軽減措置が適用される場合もあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

登録免許税 所有権移転登記(土地)の計算・シミュレーション」で自動計算が可能です

固定資産評価額は、固定資産評価証明書に記載されています。
この証明書は、不動産所在地の市区町村役場で入手可能です。

計算の際には、評価額だけでなく適用される税率をしっかりチェックしておくことが重要です。

登録免許税は法務局において納付することになりますが、金額不足や書類の不備があると申請手続きが滞る場合があるため、注意して準備しましょう。

登記の具体的な申請手順

法務局での申請の流れ

不動産登記の申請は、必要書類を準備したうえで、管轄の法務局に出向いて行います。

まず、購入した不動産の所在地を管轄する法務局を確認しましょう。

そして、事前に集めた必要書類を漏れなく揃えて法務局窓口へ提出します。
提出の際には、窓口で案内される受付番号や控えを大切に保管しておくことが重要です。

また、登記の際には登録免許税を支払う必要があります。
登録免許税は法務局で収入印紙を購入し、申請書類に貼り付けます。

そのため、税額を事前に計算しておき、現金または収入印紙を準備することを忘れないようにしましょう。
法務局では担当者が書類の確認を行い、問題がなければ1週間程度で受理されます。

必要に応じて、追加書類の提出を求められることもあるため余裕をもって対応しましょう。

書類作成のポイントと注意点

不動産売買登記では正確に書類を作成することが重要です。

例えば「売買契約書」などは、記載事項に不備があると申請がスムーズに進まなくなる可能性があります。
書類の作成やチェック時は細かい点まで注意することが大切です。

また、売主および買主の印鑑証明書や住民票といった本人確認書類が期限切れの場合、再提出が必要になるため、必ず有効期限の範囲内のものを揃えるようにしましょう。

さらに、誤字脱字がある場合でも審査に影響が出ますので、提出前の確認を徹底してください。

申請後のステータス確認方法

所有権移転登記を申請した後は、法務局からの連絡を待ちましょう。
法務局で手続きをすると完了予定の日付を提示されます。

完了予定日を過ぎても連絡がない場合は登記完了になりますので、速やかに法務局にて「登記完了証」や新規の「登記識別情報」を受け取りましょう。

これは不動産の権利を証明する極めて重要な書類ですので、受け取り後は紛失しないように厳重に保管してください。

よくあるミスとその回避策

不動産登記の申請でよく起こるミスとしては、必要書類の不足や期限切れ書類の提出、記載事項の誤りなどが挙げられます。

また、登録免許税の計算間違いも油断できないポイントです。
これらを防ぐためには、事前に「必要書類リスト」を作成して一つひとつチェックしていくことが有効です。

再提出になった場合、一度申請の取り下げになることがありますが、その場合は支払い済の登録免許税は返還されますが、処理に2ヶ月程度かかります。

時間と資金に余裕を持って行いましょう。

申請後のフォローアップと今後の管理

登記完了後に確認すべき事項

所有権移転登記が完了した後は、不動産登記簿を取得して内容を確認しましょう。

特に、登記簿の所有者情報が購入者本人の名前で正しく登録されているか、不動産の所在地や地番が正確であるかなどを細かくチェックしましょう。

これにより、万が一記載内容に誤りがあった場合、速やかに修正手続きが可能です。
また、売買契約時に取り交わした内容と齟齬がないかどうかも確認することを怠らないようにしましょう。

不動産の名義変更後の注意点

不動産の名義変更が完了すると、固定資産税や都市計画税などの税金が名義人に課せられるようになります。

そのため、近隣の市区町村役場に購入した不動産情報を通知することが求められる場合があります。

また、将来的に不動産を売却する際や相続を検討する際のために、登記に関連する書類(登記識別情報通知書や売買契約書など)は大切に保管しておきましょう。

これらの書類は新たな手続きの際に必要となるため、紛失しないよう注意が必要です。

トラブルが発生した場合の相談先

万が一、登記完了後に何らかのトラブルが発生した場合は、速やかに相談できる窓口を用意しておきましょう。

例えば、売買契約に基づくトラブルであれば、不動産仲介業者や弁護士に相談することを検討してください。不動産登記のやりかたや売買契約に詳しい専門家に助けを求めることで、速やかに問題を解決することができます。

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この記事を書いた人

茨城県水戸市にて2007年から個人事業に従事、2015年に独立。2021年にsoratobunezumi合同会社で法人化。デジタル支援やITコンサルティングを通じ、個人事業主や小規模事業者を支援。肩書なくつながるコミュニティスペース「本拠地」を運営、保護猫活動や居住支援法人として地域社会に貢献します。ジョブコーチ/両立支援コーディネーター

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