生活困窮者とは?その定義と年収要件について

「働いているのに生活が苦しい」
「家賃が払えなくなりそう」
「どこに相談すればいいか分からない」

そんな状況にある方へ。

「生活困窮者」という言葉を聞いて、「自分には関係ない」と思っていませんか?
実は、働いている人でも、生活保護を受けていない人でも、支援の対象になる可能性があります。

この記事では、「生活困窮者」の定義や、どんな人が支援を受けられるのか、どんな制度があるのかを、できるだけ分かりやすく説明します。

目次

「生活困窮者」とは?

法律における定義

生活困窮者とは、「生活困窮者自立支援法」の中で、最低限度の生活が維持できなくなるおそれのある者を指します。

この法律は2013年に公布され、2015年4月1日から、生活困窮者の自立を支援するための制度が開始されました。

(定義)
第三条 この法律において「生活困窮者」とは、就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性その他の事情により、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者をいう。

生活困窮者自立支援法

つまり、今すぐ食べるものがない、というレベルでなくても対象になるということです。
なぜなら、生活困窮は収入だけでなく、以下のような要素が複合的に関わるからです。

  • 家族構成(単身、ひとり親、夫婦、子どもの人数)
  • 住んでいる地域(都市部 or 地方)
  • 借金の有無
  • 病気や障害の有無
  • 頼れる身内がいるかどうか

生活困窮者の年収要件

生活困窮者の具体的な収入制限は定められていませんが、住宅確保給付金や一時生活支援事業など支援制度ごとに、収入の目安が設定されています。

例えば水戸市の一時生活支援事業における収入基準は下記のとおりです。

  • 単身世帯 116,400円
  • 2人世帯 166,000円

日本では、年収200万円以下で働く人が約1,000万人以上いると言われています。

月収に換算すると、約16万円。
家賃、光熱費、食費、通信費を払うと、ほとんど残らない金額です。

さらに、年収100万円以下(月収約8万円)の世帯も多く存在します。

  • アルバイト・パートで週3日程度
  • 障害年金や遺族年金のみ
  • 失業中で貯金を切り崩している

このような世帯ではすでに生活が困難な状態にあることも多く、早めの相談が必要です。
年収200万円以下でも、支援制度の対象になる可能性が高いといえます。

生活困窮者の現状

国際的な基準

国際的な基準で生活困窮者を定義する際には、主に「相対的貧困率」が用いられます。
相対的貧困率とは、国全体の所得分布の中央値の50%未満の収入しかない人々の割合を指します。

相対的貧困は国や地域の状況を反映するもので、絶対的貧困とは異なります。

絶対的貧困とは、国・地域の生活レベルとは無関係に、生きるうえで必要最低限の生活水準が満たされていない状態を示します。私たちが一般に「貧困」と聞いてイメージするのはこちらでしょう。

現在では世界銀行の定めた国際貧困ラインを基準に、衣食住など、最低限必要とされる生活物資を購入できる所得または支出水準に達していない人々のことを絶対的貧困者と呼んでいます。

相対的貧困とは?絶対的貧困との違いや相対的貧困率についても学ぼう

日本の統計

日本における相対的貧困率は約15.7%とされており、次のように分析されています。

  • 60歳以上の高齢者が多い
  • 単身・ひとり親世帯が多い
  • 群部や町村居住者の賃金が低く仕事の選択肢が少ない

これはOECD主要国の中では7位に位置します。
G7の中では最も貧困率が高い結果となっています。

生活困窮者の原因

生活困窮者が生じる原因は複雑で、社会的・構造的な問題が複雑に絡み合っています。

1.雇用の不安定化
  • パート、アルバイト、派遣、契約社員
  • 正社員と同じように働いても、賃金が低い
  • 雇用が不安定で、いつクビになるか分からない
  • 病気やケガで働けなくなると、すぐに生活が破綻
2.所得格差の拡大
  • 大企業と中小企業の賃金格差
  • 正社員と非正規の賃金格差
  • 資産を持つ層と持たない層の格差
3.地域間格差
  • 地方では仕事の選択肢が少ない
  • 賃金が低い
  • 公共交通機関が少なく、車がないと生活できない(維持費の負担)
4.セーフティネットの不足
  • 住まいの保障が弱い
  • 医療費や教育費の負担が大きい

生活困窮は、一つの原因だけで起こるわけではありません。

支援制度

生活困窮者を支援する制度は、「生活保護」だけではありません。
生活保護の前段階で使える制度が、たくさんあります。

生活困窮者自立支援制度

具体的には、住宅確保給付金や一時生活支援事業などが提供されており、これにより収入が低い家庭や個人が生活の基盤を整えるための支援が受けられます。

生活困窮者自立支援制度は、生活保護を受ける前段階の支援として位置づけられており、年収制限は明確ではありませんが、平均的な生活困窮者の年収は200万円以下として設定されていることが多いです。

さらに、この制度では相談窓口を設置し、専門の支援員が生活や就業の相談に応じるなど、多角的な支援を行っています。

「〇〇市 自立相談支援機関」で検索か、お住まいの市区町村の福祉課に問い合わせ

生活保護制度

どうしても生活が維持できない場合に、国が最低限度の生活を保障する制度です。

この制度では、経済的に困窮した個人や世帯に対して生活費や住宅費などを支給します。
対象者は収入が基準以下であることが条件となりますが、具体的な収入制限はありません。

また、生活保護を受けながらも健康で働ける人には、就業支援も行われることがあります。

よくある誤解・不安

「生活困窮者」って、ホームレスの人のことですか?

いいえ、違います。働いている人、家がある人でも、生活困窮者に該当する可能性があります。
「今は何とかなっているけど、このままだと生活が維持できなくなりそう」という状況なら、支援の対象です。

働いているから対象外?

ワーキングプア(働いているのに生活が苦しい)の人も、支援の対象です。
住宅確保給付金や家計改善支援など、働きながら使える制度もあります。

生活保護を受けないと支援してもらえない?

いいえ、生活保護の前段階の支援がたくさんあります。
生活困窮者自立支援制度は、生活保護を受ける前の人を対象にした制度です。まずは自立相談支援機関に相談してみてください。

相談したら、親や家族に連絡される?

基本的には本人の同意なしに連絡されません。
ただし、生活保護を申請する場合は、親族への照会(扶養照会)があります。DVや虐待、長年音信不通などの事情がある場合は、照会を省略できる可能性があります。

借金があっても支援を受けられる?

はい、受けられます。むしろ、借金の整理(債務整理)も含めて支援してもらえます。
家計改善支援事業や、法テラスの無料法律相談を利用できます。

まとめ

「生活困窮者」という言葉は、どこか遠い存在のように感じるかもしれません。

でも、実際には:

  • 働いている人でも
  • 家がある人でも
  • 若い人でも

生活困窮の状態にある、またはそのリスクを抱えている人は、たくさんいます。
その原因は、個人の努力不足や怠慢のせいだけではありません。

  • 雇用の不安定化
  • 賃金の低下
  • 社会保障の穴

これらは、社会全体の構造的な問題です。

まずは、自立相談支援機関に電話してみてください。
「どこに相談すればいいか分からない」と伝えるだけでも、大丈夫です。

茨城の生活困窮者自立支援

住むところの相談や生活の安定に向けた支援を行っています。
必要なヒト・モノ・コトがあれば、人生のバックヤードにご相談下さい。

soratobunezumi合同会社は、茨城県居住支援法人第8号です。

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