生活保護を受けると保険証はどうなる?返納手続きと医療券の使い方

「生活保護を受けることになったんですが、保険証ってどうしたらいいですか?」

生活保護の申請が通って、これから受給が始まる。
そんなとき、手元にある国民健康保険証をどうすればいいのか、疑問に思う方は多いです。

結論から言うと:国民健康保険証は返納する必要があります。

でも、安心してください。
保険証がなくなっても、医療は受けられます。

この記事では、生活保護を受けるときの保険証の扱いと、その後の医療の受け方について、わかりやすく説明します。

目次

生活保護を受けると保険証は返納が必要

なぜ保険証を返すのか

生活保護を受給すると、国民健康保険の加入資格を失います。
理由は、生活保護には「医療扶助」という制度があり、医療費が公費で負担されるからです。

つまり

  • 国民健康保険 = 保険料を払って、医療費の一部を自己負担
  • 医療扶助(生活保護) = 公費負担で、医療費は無料

この2つを同時に利用することはできません。
生活保護を受け始めたら、国民健康保険の資格は自動的に喪失し、保険証を返納する必要があるのです。

保険料の支払いも免除される

国民健康保険の資格を失うことで、保険料の支払いも免除されます。

生活保護を受ける前に未払いの保険料があった場合も、基本的には一時的に支払いが免除されることが多いです(自治体によって対応が異なる場合があります)。

「保険証がなくなったら、病院に行けないの?」

そう心配する方もいるかもしれませんが、大丈夫です。
生活保護を受けている間は、医療券(または医療扶助) を使って病院を受診できます。

しかも、医療費は全額公費負担なので、自己負担はゼロです。

保険証の返納手続き

では、実際に保険証を返納する手続きについて説明します。

STEP
いつ返すのか

生活保護の受給が決定したら、できるだけ早く返納する必要があります。
通常、生活保護の開始通知が届いたら、すぐに手続きを行います。

STEP
どこに返すのか

お住まいの市区町村役場の国民健康保険担当窓口に返納します。

窓口の名称は自治体によって異なりますが、以下のような名前のことが多いです。

  • 国保市民課
  • 保険年金課
  • 市民課
  • 国保担当窓口
STEP
持っていくもの

保険証を返納する際には、以下のものを持参しましょう。

必須
  • 国民健康保険証(世帯全員分)
  • 生活保護開始決定通知書(福祉事務所から届く書類)
  • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
場合により必要
  • 印鑑
  • マイナンバーがわかるもの

事前に電話で確認しておくと安心です。

STEP
手続きの流れ
  1. 国保担当窓口に行く
  2. 「生活保護を受けることになったので、保険証を返納したい」と伝える
  3. 生活保護開始決定通知書を提示
  4. 保険証を返納
  5. 手続き完了

手続き自体は、それほど時間はかかりません。

STEP
家族の保険証は?

世帯全員が生活保護を受ける場合は、世帯全員分の保険証を返納します。

一方、世帯の一部の人だけが生活保護を受ける場合(世帯分離している場合など)は、生活保護を受ける人の分だけを返納します。

医療扶助とは?医療券の使い方

保険証を返納した後は、「医療扶助」を利用して医療を受けます。

医療扶助とは

医療扶助とは、生活保護受給者が医療を受けるための公費負担制度です。

医療扶助を利用すると

  • 医療費が全額公費負担(自己負担なし)
  • 診察代、薬代、入院費などすべて無料
  • 指定された医療機関で受診する

医療券とは

医療扶助を受けるためには、医療券が必要です。

医療券とは、生活保護受給者が医療機関で診療を受ける際に、医療費を公費で賄うことを証明する書類です。
医療券は、福祉事務所(または担当のケースワーカー)が発行します。

医療券の種類

医療券には、以下のような種類があります。

通院用の医療券
  • 外来診療に使う
  • 1つの診療科に対して、1つの医療機関でのみ使える
  • 有効期限がある(通常1ヶ月)
入院用の医療券
  • 入院に使う
  • 入院期間に応じて発行される
調剤券
  • 処方箋をもらって薬局で薬を受け取るときに使う

医療券の発行方法

医療券は、以下の流れで発行されます。

  1. 病院に行く必要が出てきた
    • 持病の通院、新しい症状など
  2. 担当ケースワーカーに連絡
    • 「○○病院の○○科を受診したい」と伝える
    • 電話または福祉事務所の窓口で
  3. ケースワーカーが医療券を発行
    • 受診する医療機関に医療券が送られる(FAXや郵送)
    • または、本人に医療券が渡される
  4. 医療機関を受診
    • 医療券を提示して受診
    • 医療費の自己負担なし

医療券の制約

医療券には、いくつかの制約があります。

1.1つの科に対して1つの病院 生活保護の医療扶助では、1つの診療科につき、1つの医療機関しか受診できません。

例えば

  • 内科はA病院
  • 歯科はB歯科医院
  • 整形外科はC整形外科

このように、科ごとに医療機関を決める必要があります。

2. 指定医療機関でのみ受診可能 医療券が使えるのは、生活保護の指定医療機関のみです。

すべての病院が指定医療機関とは限らないため、事前に確認が必要です。

3. 有効期限がある 医療券には有効期限があります(通常1ヶ月)。

期限が切れたら、新しい医療券を発行してもらう必要があります。

4. 事前の連絡が必要 医療券を発行してもらうには、事前にケースワーカーに連絡する必要があります。

急に病院に行っても、医療券がなければ受診できません(緊急時を除く)。

実際の通院の流れ

では、実際に病院に行くときの流れを、ケース別に見ていきましょう。

ケース1:持病があり、定期的に通院している場合

生活保護を受ける前から通っている病院がある場合。

  1. ケースワーカーに相談
    • 「現在○○病院の○○科に通院しています」と伝える
    • その病院が指定医療機関かどうか確認
  2. 指定医療機関なら、そのまま通える
    • 医療券を発行してもらう
    • 引き続き同じ病院に通院
  3. 指定医療機関でない場合
    • 別の指定医療機関を探す必要がある
    • ケースワーカーが指定医療機関のリストを教えてくれる

ケース2:新しく病院に行きたい場合

風邪を引いた、体調が悪いなど、新しく病院に行く場合。

  1. ケースワーカーに連絡
    • 「○○科を受診したい」と伝える
    • 希望する医療機関があれば伝える(指定医療機関に限る)
  2. ケースワーカーが医療券を発行
    • 医療機関に医療券が送られる
    • または、本人が医療券を受け取る
  3. 医療機関を受診
    • 初診の場合は、受付で「生活保護を受けています」と伝える
    • 医療券を提示
    • 診察を受ける
  4. 会計はなし
    • 医療費の自己負担はゼロ
    • そのまま帰れる

ケース3:急病のとき

夜間や休日に急病になった場合。

急病で緊急に医療が必要な場合は、医療券がなくても受診できます。

  1. まず医療機関を受診
    • 救急病院や夜間診療所に行く
    • 受付で「生活保護を受けています」と伝える
  2. 一旦、医療費を立て替える場合がある
    • 医療機関によっては、一時的に自己負担を求められることがある
    • 領収書を必ず受け取る
  3. 翌営業日にケースワーカーに連絡
    • 事後報告として連絡
    • 領収書を提出すれば、立て替えた医療費が返金される

ケース4:転院したい場合

今の病院から別の病院に変わりたい場合。

  1. ケースワーカーに相談
    • 「別の病院に転院したい」と伝える
    • 理由を説明(家から遠い、治療方針が合わないなど)
  2. 現在の医療券を停止
    • 転院する場合、現在の医療券は使えなくなる
  3. 新しい医療機関の医療券を発行
    • 転院先の医療機関で新しい医療券を発行してもらう
  4. 紹介状が必要な場合も
    • 転院先によっては、現在の病院からの紹介状が必要なことがある

ケース5:薬をもらうとき

病院で処方箋をもらった場合。

  1. 調剤券を発行してもらう
    • 通常、医療券と一緒に調剤券も発行される
  2. 指定された薬局に行く
    • 調剤券を提示
    • 薬を受け取る
  3. 薬代も無料
    • 自己負担なし

オンライン資格確認って何?

最近、医療扶助の手続きが便利になる動きが進んでいます。

オンライン資格確認とは

オンライン資格確認とは、医療機関が患者の保険資格を電子的に確認できる仕組みです。
従来は紙の医療券を使っていましたが、マイナンバーカードを使ってデジタル化する取り組みが進んでいます。

何が便利になるのか

オンライン資格確認が導入されると

紙の医療券が不要
  • マイナンバーカードを提示するだけで受診できる
  • 医療券の発行を待つ必要がない
スピーディーな受診
  • ケースワーカーへの事前連絡が不要になる可能性
  • すぐに病院に行ける
手続きの簡素化
  • 医療機関側も手続きが簡単に
  • 福祉事務所の事務負担も軽減

現状はどうなっている?

令和6年3月1日から、マイナンバーカードを利用したオンライン資格確認が順次スタートしています。

ただし、まだ全ての医療機関で使えるわけではありません。

現状では

  • 一部の医療機関で導入が進んでいる
  • まだ紙の医療券を使っている地域・医療機関も多い
  • 今後、徐々に拡大していく予定

お住まいの地域でオンライン資格確認が使えるかどうかは、ケースワーカーに確認してみましょう。

よくある不安・疑問

生活保護で医療を受けることについて、よくある不安や疑問にお答えします。

周りの人に生活保護だとバレる?

基本的にバレません。

医療券を使うことで、医療機関の職員には生活保護を受けていることがわかります。
しかし、医療機関の職員には守秘義務があります。

他の患者や外部の人に、あなたが生活保護を受けていることを漏らすことは法律で禁止されています。

待合室で「生活保護の方〜」と呼ばれることもありません。
普通の患者と同じように対応されます。

医療券を使うのが恥ずかしい…

あなたの権利です。遠慮する必要はありません。

医療扶助は、生活保護受給者の正当な権利です。
病気やケガをしたときに医療を受けることは、当然のことです。

医療機関の職員も、生活保護の患者を日常的に受け入れていますから、特別な目で見られることはありません。

好きな病院に行けないの?

A. 指定医療機関に限られますが、選択肢は多いです。

確かに、医療券が使えるのは指定医療機関のみです。
しかし、多くの病院・診療所が指定医療機関になっているため、選択肢は意外と多いです。

もし希望する医療機関が指定医療機関でない場合は、ケースワーカーに相談してみましょう。
場合によっては、指定医療機関に追加してもらえることもあります。

歯医者にも行ける?

A. はい、行けます。

歯科も医療扶助の対象です。
歯科の医療券を発行してもらえば、指定歯科医院で治療を受けられます。

虫歯の治療、入れ歯の作成なども医療扶助でカバーされます。

精神科・心療内科にも行ける?

A. はい、行けます。

精神科・心療内科も医療扶助の対象です。
メンタルヘルスのケアも大切な医療ですから、遠慮なく受診してください。

急病のとき、医療券がなくても大丈夫?

A. はい、大丈夫です。

緊急時は、医療券がなくても受診できます。
受付で「生活保護を受けています」と伝え、後日ケースワーカーに連絡すればOKです。
夜間・休日の救急受診も同様です。

入院することになったら?

A. 入院用の医療券を発行してもらいます。

入院が必要になった場合:

  1. すぐにケースワーカーに連絡
  2. 入院用の医療券を発行してもらう
  3. 入院費も全額公費負担

入院中の食事代も医療扶助でカバーされます。

セカンドオピニオンは受けられる?

A. 相談すれば可能です。

セカンドオピニオン(別の医師の意見を聞くこと)も、ケースワーカーに相談すれば受けられます。
重大な病気や手術が必要な場合など、別の医師の意見を聞きたいときは、遠慮なく相談しましょう。

生活保護を抜けたときの保険証

生活保護を受けなくなった場合、再び国民健康保険に加入する必要があります。

STEP
国民健康保険への再加入

生活保護が停止または廃止になったら、14日以内に国民健康保険への再加入手続きを行いましょう。

手続きの場所は、市区町村役場の国保担当窓口です。

必要なもの
  • 生活保護停止決定通知書(または廃止決定通知書)
  • 本人確認書類
  • マイナンバーがわかるもの
  • 印鑑(場合による)
STEP
保険証の受け取り

再加入手続きが完了すると、新しい保険証が発行されます。

保険証は

  • 郵送される場合
  • 窓口で直接受け取る場合

があります。

新しい保険証が届いたら、内容を確認しましょう。

医療費の自己負担が発生

国民健康保険に再加入すると、医療費の一部自己負担が発生します。

通常

  • 3割負担(70歳未満)
  • 2割または1割負担(70歳以上、所得により異なる)

また、保険料の支払いも再開されます。
生活保護を受けていた期間までさかのぼって保険料を請求されることもあるため、注意が必要です。

まとめ:保険証がなくても医療は受けられる

生活保護を受けると、国民健康保険の保険証は返納する必要があります。
でも、医療を受けられなくなるわけではありません。

医療券の使い方がわからない、病院に行きたいけどどうすればいいかわからない。
そんなときは、遠慮なく担当のケースワーカーに相談してください。

ケースワーカーは、あなたが医療を受けられるようにサポートする役割を持っています。

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