生活保護制度とは?8つの扶助・申請サポート・相談者への案内方法

支援者の方へ。
相談者から、こんな相談を受けたことはありませんか?

  • 「収入がなくて、生活できない」
  • 「働けなくて、お金がない」
  • 「家賃が払えない、食べるものがない」
  • 「病気で働けない」
  • 「生活保護を受けたいけど、どうすればいいかわからない」

このような相談に対応する制度があります。
それが、生活保護制度です。

この記事では、支援者の方が生活保護制度を理解し、相談者を適切に支援するための情報を提供します。

目次

生活保護とは

まず、生活保護制度の基本を理解しましょう。

生活保護: 生活に困窮している人々に対して、国が最低限度の生活を保障し、自立を支援する制度。

生活保護とは、生活保護法(昭和25年法律第144号)に基づいて行われます。

第一条 この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

第十一条 保護の種類は、次のとおりとする。

 生活扶助

 教育扶助

 住宅扶助

 医療扶助

 介護扶助

 出産扶助

 生業扶助

 葬祭扶助

 前項各号の扶助は、要保護者の必要に応じ、単給又は併給として行われる。

引用元:生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)

つまり、最低限度の生活を保証する最後のセーフティーネットであり、自立を支援することを目的としています。

生活困窮者自立支援制度との違い

生活保護最後のセーフティネット。現金給付を含む。
生活困窮者自立支援制度生活保護に至るの支援。基本的に現金給付はなく、自立に向けた相談支援が主。

生活困窮者自立支援制度で対応できない場合は、生活保護を使います。
生活保護は最後の砦と言えます。

生活保護制度の成り立ち

生活保護制度は、戦後、生活に困窮する人々を国や自治体が保護する必要性から生まれました。

生活保護制度とは、国が、生活に困窮するすべての国民に対してその困窮の程度に応じ、必要な保護を行います。その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長するために作られました。

1946年に制定された「生活保護法」によって始まり、1970年代には高度経済成長による貧富の格差や老後の生活保障、身体障害者の生活保護などを背景に拡大されました。

その後も様々な社会背景の変化を受けて度々改正されています。

現在でも、新型コロナウイルスや先進的なIT技術、高齢化社会など時代とともに形成される新たな困窮事情に対応するため、逐次改善が求められています。

1946年生活保護法制定(戦後、生活に困窮する人々を保護する必要性から)
1970年代高度経済成長による貧富の格差、老後の生活保障、身体障害者の生活保護などを背景に拡大。
現在新型コロナウイルス、IT技術、高齢化社会など、時代とともに形成される新たな困窮事情に対応するため、逐次改善。

年次推移を見てみると、生活保護受給者数は増加傾向にあります。

2008年のリーマンショックでは、日本を含めた世界中の証券会社や投資家、銀行に被害が及びました。
それにより日本での失業率が5.5%上昇、派遣切りやパート非正規雇用切りも行われ、住宅ローンの貸付の返済不能者が続出。

高齢化による高齢者世帯の増加に加え、稼働年齢層の保護世帯の割合も増えました。

生活保護の対象者

生活保護の対象者は、誰でしょうか。

対象者: 生活に困窮し、日常生活を送るための最低限の生活が困難で、自立して生計を立てることが難しい人。

具体的には

  • 貧困
  • 病気
  • 障害
  • 失業
  • 借金
  • など、様々な理由で自分の力だけでの生活が難しく、助けが必要な人々

生活保護を受ける前に、以下を行う必要があります。

働ける人は能力に応じて働く
  • 保有する現金、資産、預貯金は生活費に当てる
生命保険に加入している場合
  • 原則として解約し、返戻金を生活費に当てる
扶養義務者からの援助
  • 親・子ども・兄弟姉妹など、民法上の扶養義務のある方から援助を受けられる場合は、優先して援助を受ける
他の社会保障制度を利用
  • 傷病手当、雇用保険、労災保険、国民年金、厚生年金、児童手当、児童扶養手当など、受けられる制度はすべて受ける

これらを行っても生活が困窮している場合、生活保護が申請可能となります
この要件から外れると、生活保護が打ち切り、または停止になる場合があります。

生活保護は、原則として世帯単位で適用されます。

一緒に生活している家族を一つの世帯として扱います。
その世帯が、国が決めている基準(最低生活費)に比べて不足する場合、その不足分が保護費として支給されます。

最低生活費の仕組み

生活保護では、「最低生活費」という基準があります。

最低生活費: 国が定めた、健康で文化的な最低限度の生活を送るために必要な費用。

  • 世帯の人数
  • 年齢
  • 居住地域
  • 障害の有無などによって異なる
引用元:厚生労働省「最低生活費認定額」
保護費の計算

保護費 = 最低生活費 – 世帯収入

  • 最低生活費:月15万円
  • 世帯収入:月5万円
  • 保護費:10万円

このように、世帯収入が最低生活費を下回る場合、その差額が保護費として支給されます。

8つの扶助

生活保護には、8つの扶助があります。

第十一条 保護の種類は、次のとおりとする。
一 生活扶助
二 教育扶助
三 住宅扶助
四 医療扶助
五 介護扶助
六 出産扶助
七 生業扶助
八 葬祭扶助
2 前項各号の扶助は、要保護者の必要に応じ、単給又は併給として行われる。

引用元:生活保護法

つまり、必要に応じて、1つの扶助だけ(単給)、または複数の扶助(併給)を受けられます。

生活扶助

生活扶助: 日常生活に必要な費用を援助。

対象

  • 食費
  • 光熱費
  • 被服費
  • その他、日常生活に必要な費用

特徴

  • 生活保護の中心
  • 給付金の割合が最も高い
  • 家庭の大きさや地域の物価により援助額が変動
住宅扶助

住宅扶助: 住まいを確保するための費用を援助。

対象

  • 家賃
  • 地代
  • 賃貸契約の更新料
  • 修繕費用

上限額: 自治体ごとに上限額が設定されている。

注意: 上限額を超える家賃の住宅には住めない(または自己負担)。

教育扶助

教育扶助: 義務教育を受けるために必要な費用を援助。

対象

  • 学用品費
  • 教材費
  • 給食費
  • 学級費
  • 通学など

範囲: 小学校・中学校の義務教育。

高校の費用: 生業扶助で対応。

医療扶助

医療扶助: 医療サービスの費用を援助。

対象

  • 診察
  • 薬代
  • 入院
  • 手術など、必要な医療

特徴

  • 保険診療の自己負担がゼロ
  • 保険適用外の医薬品や治療も、一定の基準に基づき全額または一部が給付
  • 医療扶助のみの受給(単給)も可能

生活保護受給者の約半分近くが医療扶助を受給しています。

理由として、病気、ケガ、障害などの理由から収入が十分に得られなくなり、生活保護の受給に至ったケースが多いためです。

精神科通院の場合、自立支援医療制度を併用することもあります。

介護扶助

介護扶助: 介護サービスの費用を援助。

対象

  • 介護サービスの利用費用
  • 補助具の購入費用など

介護が必要な方について、介護保険と同様のサービスを提供します。

出産扶助

出産扶助: 出産にかかる費用を援助。

対象

  • 分娩費
  • 入院費など

生活保護受給者は、出産一時金は支給されません
その代わり、出産扶助を申請する。

生業扶助

生業扶助: 就労に必要な技能の習得等にかかる費用を援助。

対象

  • 技能習得費用
  • 高等学校の就学費用
  • 就職支度費など

就労することを目的として支給されます。

葬祭扶助

葬祭扶助: 葬祭費用を援助。

対象:

  • 火葬費用
  • 埋葬費用
  • その他、最低限の葬祭費用

一時扶助

通常の扶助とは別に、一時的な支出に応じて一時扶助があります。

一時扶助: 臨時的な支出に対して、一時的に支給される扶助。

  • 毎月支給される保護費には、最低生活費として必要なものは全て含まれています。しかし、出産・入学・入退院など,保護費のやり繰りではこれらの支出をまかないきれない場合があります。このようなとき、一時的に、一定のものの支給ができます。
引用元:生活保護のしおり 茨城県<一時扶助とは

  • 被服費(布団、おむつなど)
  • 入学準備金(小中学校の入学準備に必要な費用)
  • 引っ越しの際の敷金等
  • 治療材料の費用など

一時扶助を受けるには、福祉事務所などで事前に相談・申請が必要です。
一定の条件や上限額があります。

免除・減額されるもの

生活保護を受けると、以下が免除・減額、または資格を失います。

  • 国民健康保険の保険料:免除
  • 住民税:非課税
  • NHKの受信料:免除(申請が必要)
  • 固定資産税:減免(申請が必要)
  • 高校の入学金等:減免(申請が必要)
  • 保育所の保育料:免除
資格を失うもの
  • ① 国民健康保険証:医療扶助を受けるため、国民健康保険から脱退。
  • ② 後期高齢者医療被保険者証:同様に、医療扶助を受けるため資格喪失。
  • ③ 医療福祉費受給者証(マル福):自治体による医療費助成制度の資格喪失。

申請方法

生活保護は、どうやって申請するのでしょうか。

STEP
相談

最初に自治体の生活保護課や社会福祉課、あるいは民生委員を通して相談します。

窓口

  • 市区町村の福祉事務所
  • 生活保護課、社会福祉課など

相談内容

  • 現在の生活状況
  • 収入、資産
  • 扶養義務者の有無など
STEP
申請

保護申請書類に必要事項を記入し、福祉事務所で手続きを行います。

必要書類

  • 申請書
  • 住民票
  • 所得証明書
  • 預貯金通帳の写し
  • 年金など所得源の一覧
  • 戸籍謄本(必要な場合)
  • その他
STEP
調査

福祉事務所の地区担当員(ケースワーカー)が自宅へ伺い、調査をします。

調査内容

  • 家族構成
  • 生活状況
  • 財産状況
  • その他必要情報

専門の職員が面接を行い、申請者が生活保護者として適切かどうかを判断します。

虚偽の情報を提供すると、申請却下等に繋がる場合があります。

全ての調査をしっかりと受け、適切な情報を提供することが重要。

STEP
決定

調査に基づき、保護が必要かどうか決定します。

審査期間は申請した日から14日以内、遅くとも30日以内に通知。
30日を超えた場合は却下とみなすことができます。

緊急性が認められる場合には、早めの対応がされることもあります。

STEP
通知

保護開始決定通知書、あるいは保護却下決定通知書が届きます。
保護開始決定がなされたら、生活保護の受給開始です。

申請が却下された場合、不服申し立てができます。

住居の確保

現住所がない場合、生活保護の申請はできません。
まずは居住地を確保しましょう。

対応

  • 一時生活支援事業(シェルター)を利用
  • 居住支援法人と連携

支援者の実務:相談者への案内方法

支援者として、相談者をどのように生活保護に繋げればよいでしょうか。
以下のような相談があれば、生活保護を案内してください。

① 収入がまったくない
  • 働けない
  • 仕事が見つからない
  • 失業保険も終わった
② 生活困窮者自立支援制度では対応できない
  • 住居確保給付金の期間が終わった
  • 就労準備支援を受けても就職できない
  • 長期的な支援が必要
③ 病気、障害で働けない
  • 治療が必要
  • 医療費が払えない
④ 高齢で働けない
  • 年金だけでは生活できない
⑤ 借金がある
  • 自己破産と組み合わせる

生活保護への偏見を解く

よくある誤解
  • 「生活保護を受けるのは恥ずかしい」
  • 「生活保護は不正受給が多い」
  • 「働けるのに受給するのはダメ」
① 生活保護は国民の権利
  • 憲法第25条(生存権)に基づく権利
  • 恥ずかしいことではない
② 不正受給は一部
  • ほとんどの受給者は適切に受給している
  • 困っている人が受給するのは当然
③ 働けない理由は様々
  • 病気、障害、高齢、介護など
  • 働きたくても働けない人が多い
④ 自立を支援する制度
  • 生活保護は一時的な救済だけでなく、自立を支援
  • 生活が安定したら、生活保護から脱却できる

ケースワーカーとの連携

生活保護受給者には、ケースワーカー(地区担当員)が付きます。

ケースワーカー: 福祉事務所の職員で、生活保護受給者の支援を担当する人。

  • 定期的な訪問
  • 生活状況の確認
  • 就労支援
  • 自立に向けた相談
  • 各種手続きのサポート

この役割を担うケースワーカーと、支援者が連携することが重要です。

① 情報共有
  • 相談者の状況を共有
  • 支援の方向性を確認
  • 役割分担
② 本人の同意を得る
  • 情報共有には本人の同意が必要
  • 「ケースワーカーと連携して支援していきたい」と説明
③ 定期的な連絡
  • 支援の進捗を報告
  • 困ったことがあれば相談
④ 支援調整会議への参加
  • ケースワーカーが開催する支援調整会議に参加
  • 関係機関と連携

居住支援法人の役割

居住支援法人は、生活保護受給者の住まいの支援を行います。

  • 物件探し
  • 大家さんとの交渉
  • 入居後の見守り
  • 家賃債務保証

住まいの相談はケースワーカーから居住支援法人へ。
居住支援法人が物件探しをサポートし、入居後もケースワーカーと連携して見守りという連携がベストです。

生活保護受給中の注意点

生活保護受給中には、いくつかの注意点があります。

①収入があった場合、必ず申告する必要があります。
  • アルバイト、パートの収入
  • 年金
  • 保険金
  • 慰謝料
  • その他、すべての収入

もし申告しないと、不正受給とみなされ、生活保護が打ち切られる可能性があります。

②資産の申告

資産の変動も申告が必要です。

  • 預貯金
  • 不動産
  • 自動車
  • その他、すべての資産

これらの資産が増えたときには必ず申告しましょう。

③ケースワーカーとの連絡

ケースワーカーからの連絡には、必ず応じてください。
連絡が取れないと失踪とみなされ、生活保護が打ち切られる可能性があります。

④就労指導

働ける能力がある場合、就労指導を受けます。
就労指導に従わないと、生活保護が打ち切られる可能性があります。

ただし、病気、障害、介護などの正当な理由があれば、就労しなくても大丈夫です。

まとめ:最後のセーフティネット

生活保護は、最後のセーフティネットです。
生活保護を必要とする可能性は、どなたにもあります。

国民の権利である「生活保護」は、生活を守るためのセーフティネットなのです。

茨城の生活困窮者自立支援

住むところの相談や生活の安定に向けた支援を行っています。
必要なヒト・モノ・コトがあれば、人生のバックヤードにご相談下さい。

soratobunezumi合同会社は、茨城県居住支援法人第8号です。

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