【支援者向け】一時生活支援事業とは?シェルターへの繋ぎ方と支援の実際

支援者の方へ。
相談者から、こんな相談を受けたことはありませんか?

  • 「今夜泊まる場所がない」
  • 「ホームレス状態になった」
  • 「ネットカフェで寝泊まりしている」
  • 「DV被害で家を出てきた」
  • 「家賃が払えず追い出された」
  • 「緊急で住む場所が必要」

このような緊急の相談に対応する制度があります。
それが、一時生活支援事業(シェルター)です。

目次

一時生活支援事業とは

まず、一時生活支援事業の基本を理解しましょう。

一時生活支援事業: 住居を持たない生活困窮者に対して、一定期間の宿泊場所や食事を提供し、生活基盤の整備や自立支援を行う制度。

一時生活支援事業の対象者の要件

一時生活支援事業は、生活困窮者自立支援法に基づき行われます。

期間
  • 原則3ヶ月
  • 都道府県等が必要と認める場合、アセスメントの状況により6ヶ月まで延長可能
費用

実施主体: 福祉事務所設置自治体(任意事業)

制度のねらい

自立相談支援事業と連携することで効果的な支援を行うことにより、住居を持たない生活困窮者に衣食住を確保するとともに、場合によっては、本事業を利用している間に、仕事を探し、アパート等を借りるため等の資金を貯蓄し、自立できるようになることをそのねらいとしている。

制度の背景

一時生活支援事業は、各自治体が「ホームレス対策事業」として実施してきた以下の施設の運用を踏まえて制度化されたものです。

  • 生活困窮者・ホームレス自立支援センター
  • 生活困窮者一時宿泊施設(シェルター)

2015年4月、生活困窮者自立支援法の施行により、全国的な制度として位置づけられました。

制度の対象者

一時生活支援事業では、

  • 緊急的に衣食住を提供
  • その間に、自立に向けた支援を行う
  • 次のステップ(アパート入居、就労など)に繋げる

これらを行い、自立を目指します。

基本的な対象者は、住居を持たない生活困窮者です。

具体的には

  • ホームレス状態の人
  • ネットカフェ生活をしている人
  • 避難所からの退所者
  • DV被害で緊急避難が必要な人
  • 家賃滞納で追い出された人
  • 一時的に住む場所を失った人

つまり、「今夜泊まる場所がない」という緊急の状況にある人です。

収入要件

収入の条件: 各自治体によって異なりますが、基本的には住居確保給付金と同様の考え方。

具体的な月収入基準は下記のとおりです。

水戸市の一時生活支援事業の利用要件

基本的には住宅確保給付金と同様の考え方ですが、一時生活支援事業は生きていく上で必要な衣食住に焦点を当てたものになっています。
緊急性が求められるケースに関しては自治体の裁量が認められています。

つまり、緊急性が高い場合、収入要件が柔軟に適用される可能性があります。

ただし、自治体によっては「一時生活支援事業」を行っていないところもあります。
相談窓口一覧表はこちらにありますので、お住まいの窓口の連絡先等があるか、まずは確認しましょう。

支援内容

一時生活支援事業では、どのような支援が提供されるのでしょうか。

衣食住の提供

① 宿泊場所の提供

一時的に住居を持たない方に対し、一定期間の宿泊場所を提供します。

形態

  • 個室(自治体による)
  • 相部屋
  • シェルター型施設
② 食事の提供

生活困窮者の方々に食事の提供を行っています。

内容

  • 朝食、昼食、夕食(3食)
  • 栄養バランスを考慮
③ 衣類その他の日常生活を営むのに必要な支援

生活困窮者の方々が日常生活を営むために必要な衣類や生活用品などについても支援を行っています。

内容

  • 衣類
  • 寝具
  • 日用品(シャンプー、石鹸など)
  • 生活必需品

自立支援

衣食住の提供だけでなく、自立に向けた支援も行います。

① 生活相談
  • 日常生活の相談
  • 生活習慣の改善
  • 健康管理
② 就労支援
  • ハローワークとの連携
  • 求人情報の提供
  • 履歴書の書き方、面接の練習
  • 就労準備支援事業との連携
③ 住宅探し
  • 不動産業者との連携
  • 物件探し
  • 賃貸借契約の支援
  • 住居確保給付金の申請サポート
④ 自立相談支援事業との連携

一時生活支援事業は、自立相談支援事業と密接に連携して実施されます。

連携内容

  • アセスメント
  • 支援プランの策定
  • 継続的な支援

支援者の実務:相談者への案内方法

支援者として、相談者をどのように一時生活支援事業に繋げればよいでしょうか

緊急性の判断

まず、緊急性を判断してください。

  • 今夜泊まる場所がない
  • ホームレス状態
  • DV被害で緊急避難が必要
  • 健康状態が悪化している

このような場合、すぐに自立相談支援窓口に連絡してください。

自立相談支援窓口への繋ぎ方

一時生活支援事業は、自立相談支援事業の一環として実施されます。

STEP
自立相談支援窓口に連絡
  • 市区町村の自立相談支援窓口に連絡
  • 「一時生活支援事業の利用を希望している相談者がいます」と伝える

全国の相談窓口一覧: 厚生労働省のWebサイトで確認できます。

STEP
相談者の状況を説明
  • なぜ住居を失ったか
  • 現在の生活状況
  • 健康状態
  • 緊急性
STEP
窓口が対応
  • 自立相談支援窓口が、相談者と面談
  • アセスメント
  • 一時生活支援事業の利用可否を判断
必要な書類

① 身分証明書

  • 運転免許証
  • マイナンバーカード
  • 健康保険証など

② 収入がわかるもの

  • 給与明細
  • 年金証書など(あれば)

身分証明書がなくても、相談は可能です。

緊急性が高い場合、まずは相談してください。

審査期間は、即日〜数日。
審査に通れば、シェルターに入居できます。

シェルターでの生活

シェルターでは、どのような生活を送るのでしょうか。

施設の形態
  • 個室(自治体による)
  • 相部屋(2〜6人程度)
  • 共同スペース(リビング、食堂など)
設備
  • ベッド
  • ロッカー
  • トイレ、浴室(共同)
  • 洗濯機

シェルターには、基本的なルールがあります。

① 門限
  • 夜の外出制限
  • 門限時間(例:22時)
② 飲酒・喫煙
  • 施設内での飲酒・喫煙禁止(自治体による)
③ 外出
  • 就職活動、通院などは外出可能
  • 事前に伝える
④ 共同生活のルール
  • 清掃当番
  • 共同スペースの利用マナー

支援プログラム

シェルターでは、自立に向けた支援プログラムが提供されます。

① 生活相談
  • 定期的に相談支援員と面談
  • 生活習慣の改善
  • 健康管理
② 就労支援
  • ハローワークでの求職活動
  • 履歴書の書き方、面接の練習
  • 就労準備支援事業への参加
③ 住宅探し
  • 不動産業者との連携
  • 物件探し
  • 住居確保給付金の申請
④ 金銭管理
  • 家計の見直し
  • 貯蓄の計画

退所に向けた準備

3ヶ月(または6ヶ月)の間に、次のステップに向けた準備を行います。

① 仕事を見つける
  • 就職活動
  • 収入の確保
② アパートを見つける
  • 物件探し
  • 賃貸借契約
  • 住居確保給付金の利用
③ 引っ越し
  • 初期費用の準備
  • 引っ越し
④ 自立
  • シェルター退所
  • 新しい生活のスタート

退所後の支援

シェルターを退所した後も、支援は続きます。

① アパート入居
  • 住居確保給付金を利用
  • 賃貸借契約
  • 引っ越し
② 就労
  • 仕事を見つける
  • 収入を得る
  • 生活を安定させる
③ 生活保護申請
  • 仕事が見つからない場合
  • 病気やケガで働けない場合
  • 生活保護を申請

地域居住支援事業との連携

平成31年4月施行の改正法において、「地域居住支援事業」が追加されました。

地域居住支援事業: 居住に困難を抱える者であって地域社会から孤立した状態にある低所得者に対する支援事業。

生活困窮者を対象に、地域社会で居住を安定させ、自立した生活を送ることができるよう環境を整えることを目的としています。

① 入居に当たっての支援
  • 不動産業者等に同行して物件や家賃債務保証業者探し
  • 賃貸借契約など、円滑な入居に向けた支援
  • 医療ソーシャルワーカー(MSW)と連携し、退院・退所後に居住支援が必要な者を把握
  • 自立相談支援事業とあわせて継続的な支援
② 居住を安定して継続するための支援
  • シェルター等を退所した者や居住に困難を抱える者を対象
  • 訪問等による居宅における見守り
  • 地域とのつながり促進

例えば、共同利用のリビングを設けるなどして日常生活上の相談に応じたり、緊急事態が生じた場合に対応できるよう地域住民も含めた家族的な助け合いの環境づくりなどが挙げられます。

これにより、シェルター退所後も孤立せず、地域で安定した生活を送ることができます。

居住支援法人との連携

居住支援法人も、シェルター退所後の支援に重要な役割を果たします。

居住支援法人の役割
  • 入居支援(物件探し、大家さんとの交渉)
  • 入居後の見守り
  • 生活相談
  • 家賃債務保証

シェルター退所前から居住支援法人と連携しておくと、トラブル時の対応や入居後の継続的な見守りなどスムーズに移行できます。

2024年改正のポイント

2024年の生活困窮者自立支援法改正で、一時生活支援事業も強化されました。

シェルターの緊急受入(365日対応)の努力義務化

改正のポイント: 一時生活支援事業における緊急的な受入体制の整備について努力義務化。

自治体は、365日いつでも緊急受入できる体制を整備するよう努めます。

従来、土日祝日や夜間は受入が難しかったり、緊急性が高い相談に対応できない事がありました。
改正により、いつでも緊急受入できる体制を目指します。

入居後の見守り支援

改正のポイント: シェルター退所後、アパート入居後の見守り支援を強化。

  • 地域居住支援事業の拡充
  • 居住支援法人との連携強化
  • 孤立防止、生活の安定
2025年10月:居住サポート住宅制度

2025年10月から、「居住サポート住宅制度」が施行されます。

居住サポート住宅制度: 住宅確保要配慮者向けの賃貸住宅に、入居後の見守り・生活支援を義務化する制度。

これにより、シェルター退所後、居住サポート住宅に入居すれば、継続的な見守り・支援を受けられるようになります。

課題と対応

ただし、一時生活支援事業には、いくつかの課題があります。

① 実施していない自治体がある

一時生活支援事業は、任意事業です。
すべての自治体で実施しているわけではありません。

理由

  • 予算不足
  • シェルター施設がない
  • 需要が少ない(と自治体が判断)
対応

① 近隣自治体に相談

  • お住まいの自治体が実施していなくても、近隣自治体が実施している場合がある
  • 自立相談支援窓口に相談して、近隣自治体を紹介してもらう

② 他の緊急支援を活用

  • 生活保護の申請(住宅扶助で宿泊場所を確保)
  • 民間のシェルター、支援団体

③ 自治体への働きかけ

  • 一時生活支援事業の実施を要望
  • 地域の実情を伝える
② 定員がいっぱいの場合

シェルターの定員が限られているため、満員の場合はすぐに入居できないことがあります。

対応

① 待機

  • 空きが出るまで待つ
  • その間、一時的な宿泊場所を確保(ビジネスホテルなど)

② 他の自治体のシェルター

  • 近隣自治体のシェルターに空きがあるか確認

③ 生活保護の申請

  • すぐに宿泊場所が必要な場合、生活保護を申請
  • 住宅扶助で宿泊場所を確保

④ 民間のシェルター、支援団体

  • NPO、市民団体が運営するシェルター
  • 一時的に利用
③ 期間が限られている

一時生活支援事業は、原則3ヶ月(最長6ヶ月)。
その期間で自立できない場合、どうするかが課題となります。

対応

① 期間延長を相談

  • 自治体によっては、6ヶ月まで延長可能
  • 相談支援員に相談

② 生活保護の申請

  • 期間内に自立できない場合、生活保護を申請
  • 住宅扶助でアパートを借りる

③ 居住支援法人と連携

  • 期間内にアパートを見つける
  • 居住支援法人のサポートを受ける

まとめ:緊急時の重要な選択肢

一時生活支援事業(シェルター)は、「今夜泊まる場所がない」という緊急の相談に対応する重要な制度です。
さらに、生活困窮者が自立できるように、緊急的な支援だけでなく自立に向けた支援も行います。

そのためには、様々な支援機関との連携や支援者の理解、地域のネットワークづくりが重要です。
一緒に、誰もが安心して住める地域をつくりましょう。

茨城の生活困窮者自立支援

住むところの相談や生活の安定に向けた支援を行っています。
必要なヒト・モノ・コトがあれば、人生のバックヤードにご相談下さい。

soratobunezumi合同会社は、茨城県居住支援法人第8号です。

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