地域居住支援事業と住宅確保の取り組み

地域居住支援事業は、住宅に困窮し、地域社会から孤立した状態にある人が、住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう支援を行う取り組みです。

この事業により、住宅の確保と共に、必要な見守りや生活支援が一体的に提供されます。

目次

地域居住支援事業について

地域居住支援事業は、生活困窮者自立支援法に基づき、平成31年4月に施行されました。
これにより、現行の一時生活支援事業を拡充し、さらなる居住支援の強化を目的を図ります。

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一時生活支援事業は、生活困窮者の中でも特に緊急性の高い支援を必要とする人々を対象にしていますが、地域居住支援事業では安定した地域生活を送るために支援体制を構築していきます。

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地域居住支援事業の対象者

この取り組みは、県自立相談支援機関又は協定市が支援を決定した、以下の生活困窮者が対象になります。

事業の対象者

ア  一時生活支援事業の終了者
イ  現在の住居を失うおそれのある生活困窮者であって、地域社会から孤立した状態にある者のうち、県自立相談支援機関又は協定市が必要と認める者

地域居住支援事業の目指すもの

地域居住支援事業の事業内容は下記のとおりです。

事業内容

ア 支援内容
(ア)アパート等へ転居するための支援
(イ)訪問による見守りなど居住を安定して継続するための支援
(ウ)地域社会との交流などの互助の関係づくり
(エ)関係機関とのネットワーク構築などの地域づくり

イ 利用期間 本事業の利用期間は1年以内とする。

この事業は、住宅の確保はもちろんのこと、安否確認などの生活支援を一体的に提供します。
相談支援は自立相談支援事業において行われ、県又は協定市の自立相談支援機関と連携しながら進めていきます

利用者からは、利用料を徴収しません。

地域居住支援事業の実施状況と結果

この事業は、各区市町村が中心となり、社会福祉法人や民間団体の協力を得ながら実施されます。

厚生労働省「居住支援のあり方について

入居支援及び居住支援した人数の多くは、「シェルター等を退所した者」がほとんどで、その支援期間は6ヶ月〜1年以内が67.4%だったというデータがあります。

施設等からの賃貸物件への移行は本人だけでは困難なことが多く、安定した居住を確保するためのアフターフォローが必要なのです。

住宅確保に向けた取り組み

住居が確保できないことは、安心して日常生活を送るうえで大きな障壁となります。

特に低所得者や高齢者など、社会的な支援が必要な方々に対しては、その支援をより具体的な形で提供する必要があります。

居住支援法人による家賃債務保証の取り組み

低所得者や高齢者が住宅を確保する際に、家賃の支払い能力に関する不安が大きなハードルとなることがあります。
この問題を解決するために、居住支援法人は住宅セーフティーネット法に基づき、登録住宅の入居者への家賃債務保証を行います。

これにより、住居の確保に不安のある方々も、安心して新たな住まいを見つけることが可能となります。

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生活困窮者自立支援法による役割

生活困窮者自立支援法では、生活保護に至る前の早期の支援を行うことで、生活困窮状態からの自立を目指します。

この法律の下では、低所得の高齢者や、生活に困窮している人々が自立した生活を送ることができるように、自立に向けた相談支援、職業訓練、一時的な住居の提供などを行います。

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今後の課題

地域居住支援事業及び住宅確保の取り組みにおける今後の課題は、低所得や高齢者の増加に伴い、支援を必要とする人々が増え続けるという点にあります。

それに伴って、住まいの確保だけでなく、生活支援の質を高めることも求められます。
社会福祉法人や民間団体との連携をより一層強化し、支援の幅と質を広げることも大きな課題です。


今後は、法律や条例の改正を通じて、支援の枠組みがより柔軟に、かつ具体的に提供されるようになる可能性があります。

例えば、2024年3月27日には生活困窮者自立支援法などの改正案が国会で成立する見通しとなりました。

衆院厚生労働委員会は27日、子どもの貧困対策や、困窮世帯の住居確保の支援を強化する生活困窮者自立支援法などの改正案について、自民、公明、立憲民主各党などの賛成多数で可決した。子どもが高校を卒業し就職するため生活保護世帯から自立する際、最大30万円の準備金を支給するのが柱。29日にも衆院を通過し、今国会で成立する見通しとなった。

準備金は、2024年1月1日以降に自立した人が対象で新生活に必要な費用に充てる。転居が必要な人には30万円、同じ住居に住み続ける場合は10万円が支払われる。

住居支援では、「住居確保給付金」をより家賃が安い物件への転居費用としても使えるようにする。

引用元:東京新聞

これらの取り組みが実を結ぶためには、政府、自治体、民間団体、そして地域社会が一体となって協力し、継続的な検証と改善が求められることに変わりありません。

今後も、住宅に困窮する人々の支援を通じて、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けた取り組みが期待されています。

茨城の生活困窮者自立支援 リーブバンク

リーブバンクは最低限生活に必要な衣類、住まい、外部との連携や公的機関による支援を受けるためのつなぎ役を担います。
必要なヒト・モノ・コトがあれば、人生のバックヤード(リーブバンク)にご相談下さい。

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この記事を書いた人

【茨城県居住支援法人第8号】茨城県内全域において、低額所得者/被災者/障害者/子育てをする者/DV被害者/生活困窮者の方を対象に住まいや生活に関する相談窓口、住まいの情報提供及び公的機関への手続き援助など、物件探しや賃貸借契約の手続き支援、住宅への内覧調整、同行・立ち会い、短期、緊急性のある方への宿泊場所その他日常生活に必要な物資の貸与・提供、日常生活の見守りを行います。

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