内縁・事実婚のふたりが、安心して暮らし続けるために今できること

夫婦や家族のあり方は、今とても多様になっています。
同性カップル、事実婚、パートナーシップ制度を利用しているふたり。

法律婚という形を選ばないカップルが増えています。

そのすべてに共通するのが、「法律婚をしていないと、一方が亡くなったときに残された側の権利がとても弱い」という現実です。

この記事では、その中でも特に事実婚・内縁関係の夫婦に向けて、安心して暮らし続けるために今のうちにできる具体的な備えを解説します。

こんな不安、ありませんか?
  • 法律婚をしていないので、もし先に逝ったらパートナーが困るかもしれない
  • お互いの親族との仲が良くないので、もめごとが心配
  • 住んでいる家の名義のことが気になっている
  • パートナーに財産を残してあげたいけど、どうすればいいかわからない
  • 葬儀や死後の手続きをパートナーに任せたいが、できるのか不安
  • どこに相談すればいいかわからない

一つでも当てはまる方に向けて、今できる備えを一緒に確認していきましょう。

目次

なぜ備えが必要なのか

法律婚をしていない場合、パートナーが亡くなると残された側には法的な権限がほとんどありません。

手続き法律婚の場合内縁・事実婚の場合
相続配偶者として相続権あり相続権なし
葬儀の決定権配偶者が優先される法定相続人(親族)が優先
住まいの継続配偶者居住権が認められる名義人の相続人次第
死後の手続き配偶者が進められる生前に委任契約がないと困難

何も備えていないと、亡くなった後のことがすべて親族の判断に委ねられてしまいます。
親族との関係がうまくいっていない場合は特に、残されたパートナーが一人で対応を迫られる事態になりかねません。

今のうちにできる5つの備え

公正証書遺言を作る

内縁・事実婚のパートナーに財産を残したい場合、公正証書遺言が最も確実な方法です。

  • 公証役場で公証人と一緒に作成するため、法的効力が強い
  • 親族が覆しにくい
  • 「住んでいた家をパートナーに遺贈する」という内容も書ける
  • 費用の目安:数万円程度(財産の額による)

遺言がないと、内縁のパートナーには財産が一切渡らない可能性があります。
お互いに元気なうちに作っておきましょう。

死後事務委任契約を結ぶ

亡くなった後の手続き(葬儀・役所への届け出・公共料金の解約など)を、誰に任せるかを生前に決めておく契約です。

  • 内縁のパートナーを受任者にすることも可能
  • 居住支援法人や社会福祉協議会などの第三者機関を受任者にすることもできる
  • 親族に頼れない場合は、第三者機関を絡めておくと安心
  • 公正証書にしておくと親族が覆しにくい

親族を頼れない場合は、第三者機関と契約しておくことで残されたパートナーが一人で親族対応をしなくて済むようになります。

任意後見契約を結ぶ

亡くなった後だけでなく、生きている間に判断能力が低下した場合(認知症など)に備える契約です。

  • 内縁のパートナーを後見人に指定できる
  • 財産管理・医療の判断・施設入所の手続きなどを任せられる
  • 法律婚でない場合、何も準備していないと病院や施設でパートナーが「家族」として扱われないことがある
生命保険の受取人をパートナーに指定する

生命保険の受取人を指定しておけば、遺産相続の手続きとは別にパートナーに直接渡すことができます。

  • 内縁のパートナーを受取人に指定できる保険会社もある(事前に確認が必要)
  • 相続と関係なく受け取れるため、親族ともめにくい
  • すでに加入している場合は、受取人の設定を確認しておく
緊急連絡先・住まいの名義を確認しておく

病院や施設への入院・入所時に「緊急連絡先」として登録しておくことで、いざというときにパートナーに連絡が届くようになります。

  • かかりつけ医・ケアマネなどにもパートナーの存在を伝えておく
  • 賃貸の場合:契約者名義がどちらか確認しておく
  • 持ち家の場合:名義が誰かによって、残されたパートナーの権利が変わる
  • 公共料金・スマホ・保険などの名義も把握しておく

親族に頼れない場合は第三者を巻き込む

家出同然で一緒になったカップルや、お互いの親族との関係が断絶している場合には、「亡くなったときに頼れる人がいない」という状況になりやすいです。

そんなときこそ、生前に第三者機関を巻き込んでおくことが大切です。

  • 居住支援法人:死後事務委任契約の受任者になれる。(法人により異なります)住まいの相談にも乗ってもらえる
  • 社会福祉協議会:「日常生活自立支援事業」として生活支援・死後事務の支援が受けられる
  • 弁護士・司法書士:遺言・後見契約など法的な書類の作成をサポートしてもらえる

「一人で抱え込まなくていい仕組みを作っておく」ことが、残されたパートナーを守ることになります。

よくある質問

遺言がなければパートナーには何も残せませんか?

遺言がない場合、内縁のパートナーには相続権がないため、財産は法定相続人(親族)に渡ります。

パートナーに残したい場合は、必ず公正証書遺言を作成しておきましょう。

死後事務委任契約は、パートナー以外に頼めますか?

はい。居住支援法人・社会福祉協議会・弁護士・司法書士など、第三者に委任することができます。

パートナーが高齢や体調不良の場合は、第三者機関を受任者にする方が安心な場合があります。

公正証書遺言はどこで作れますか?

全国の公証役場で作成できます。

事前に内容を準備して、公証人と相談しながら作成します。
弁護士や司法書士に相談してから公証役場に行く方法もあります。

親族と仲が悪いのですが、遺言を覆されることはありますか?

公正証書遺言は法的効力が強く、親族が簡単に覆すことはできません。

ただし「遺留分」という制度があり、法定相続人には最低限の取り分が保障されています。
詳しくは弁護士に相談してください。

認知症になったとき、パートナーに判断を任せられますか?

任意後見契約を結んでおけば、判断能力が低下したときにパートナーに財産管理や医療判断を任せることができます。

何も準備していないと、病院や施設がパートナーを「家族」として扱わない場合があります。

住んでいる家や部屋の名義が亡くなった方の場合、残された側は出ていかないといけませんか?

すぐに出なければならないわけではありません。

長期間の同居実績があれば居住権が認められる場合があります。
賃貸や持ち家など、居住状況によって対応が変わります。

どこに相談すればいいですか?

まずは法テラス(無料で弁護士に相談できる)か、居住支援法人・社会福祉協議会、市役所などに相談してみましょう

「何から始めればいいか」から一緒に考えてもらえます。

公正証書遺言の費用はどれくらいかかりますか?

公正証書遺言は数万円程度(財産額による)、死後事務委任契約・任意後見契約は弁護士・司法書士への報酬が別途かかります。

法テラスを利用すれば費用を抑えられる場合があります。

高齢になってからでも間に合いますか?

判断能力がある状態であれば、何歳からでも手続きできます。

ただし、認知症が進んでからでは契約できなくなる場合があります。

なるべく早めに動くことをおすすめします。

事実婚・内縁関係を証明する書類は必要ですか?

同居の実績(住民票・光熱費の支払い記録など)が証拠になる場合があります。

遺言や委任契約を公正証書にしておけば、書類がなくても法的効力があります。

死後事務委任契約を結んだら、亡くなったときに連絡は来ますか?

契約書に「亡くなったら○○に連絡する」という通知先を明記しておくことで、連絡が届きます。

かかりつけ医・病院・ケアマネなどにも受任者の存在を伝えておくと、より確実です。

まとめ:一人で悩まないで、今日から動きましょう

それでは、ここまでのまとめです。

  • 公正証書遺言で、パートナーへの財産の遺し方を決めておきましょう
  • 死後事務委任契約で、亡くなった後の手続きを任せる人を決めておきましょう
  • 任意後見契約で、判断能力が低下したときの備えをしておきましょう
  • 親族に頼れない場合は、居住支援法人や社会福祉協議会などの第三者機関を巻き込みましょう
  • 緊急連絡先・住まい・公共料金の名義を今のうちに確認しておきましょう

「まだ先のこと」と思っていると、突然のことに備えられません。

パートナーが困らないために、今日から一歩踏み出してみてください。
困ったことがあれば、一緒に考えましょう。

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