2023年度居住支援研修会に参加しました

居住支援法人と行政について、各関係団体が学ぶ場として「2023年度居住支援法人研修会」がオンラインで開催されました。

目次

2023年度居住支援法人研修会の内容について

開催場所ZOOMを使用したオンライン研修会
開催日9月1日(金) 9月28日(木) 10月13日(金) 10月25日(水)
参加費無料
参加対象居住支援法人もしくは居住支援法人の指定準備中団体、行政、社会福祉法人、社会福祉協議会、
不動産関係団体・事業者、その他居住支援に関心がある方

主催は、一般社団法人全国居住支援法人協議会です。

1日目:国・行政の制度施策について

1日目は、国や行政から見る居住支援法人についてのお話でした。

住居を失うと、3つの危機に直面します

  1. 生存的危機
  2. 社会的危機
  3. 関係的危機

住居は「ハコ」のみではなく、生活を営む基盤となるもの。
最近では特に住所を持たず、車やホテルなど一定の空間で快適や満足感が得られる状態であることも居住性として捉えられています。

では何が危機なのかというと、行政の手続きが困難になったり、就職の困難、社会的孤立の促進といった事が起こってきます。

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居住支援法人とは?概要とその役割について 住宅確保要配慮者居住支援法人は、居住支援事業を通じて社会復帰を助けることで地域社会全体の福祉向上を目指す存在です。しかし、その存在が認知されていないのが現状です。この記事ではその概要と実態を紹介します。

こちらの記事でも書いたように、ハウスレスとホームレスの違いから見ても包括的な支援が必要になってくるというお話がありました。

本来は家族の機能である日常支援や見守りを担うプレーヤーの必要性
サードプレイスといった地域の繋がりや参加を可能にする体制づくり

ひいては、更生保護にも関わる問題にまで発展する可能性があるのです。

頼れる人や居場所がないことで孤立しやすい環境を作ってしまう。
それによって犯罪を犯し、満期釈放されてもまた居場所がなく刑務所に戻ってしまうという課題もあります。

住まいの支援を連携することで、負の連鎖を断ち切る。
そして、誰もが地域に居場所があるという生活の支援があることで、結局みんなが生きやすくなるのです。

2日目:住宅確保と生活支援について

2日目は、主に住宅を中心とした居住支援法人についてのお話でした。

実践報告は不動産会社での事例発表や取り組みについてでしたが、各県の特性を活かした事業を知ることができてとても参考になりました。

例えば、下関市では物件のオーナー向けにセミナーを行ったり「高齢者見守り隊」という地域包括を進める取り組み。

熊本からは、住宅確保要配慮者が直面する、不動産会社での困りごとについて。
中でも一番のネックとなる家賃滞納のリスクを、居住支援法人として「躓かせない」ようにするのが居住支援法人の役目であるという考え方。

ヒアリングの重要性

何に困っているのか
どうしたいのか
何をしてほしいのか

これらを入居前の面談でヒアリングすることで家賃滞納をさせないというお話でしたが、居住に限らず、生活支援でもこの3つは非常に重要だと思います。

また、福岡市ではLGBTQの住まい支援についてのお話がありました。

理解不足による家探しの難航にむけ、不動産会社としてなにができるのか。
ここでもやはり、特別視せず困りごとに耳を傾けて一つ一つ対応して入居に繋げたというお話でした。

3日目:地域連携事例について

3日目は、地域との連携についてのお話でした。

一人では解決できないような大きな課題であっても、不動産と福祉それぞれを横ぐしで繋ぎ、隙間を埋めていくことで支援がつながっていきます。

居住支援がすべてを抱えていくのではなく、点を結んで先にしていくこと、支援者を作ることの重要性は、私も居住支援法人としてしみじみ感じているところです。

4日目:居住支援と関連した死後事務・残置物対応の展開と課題について

4日目は、死後事務や残置物対応についてのお話でした。

通常、貸主は勝手に室内に入り中の動産を処分することはできません。
勝手に処分した場合には器物損壊罪に該当するおそれがあります。

器物損壊罪とは

第261条
前三条【第258条第259条第260条】に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

しかし、高齢者や相続人がいない、緊急連絡先などがいない方が亡くなった場合の残置物の処分はどうしたらいいのか?

  1. 賃貸借契約を解除する
  2. 建物明け渡しを求めて訴訟提起
  3. 請求認容判決を得て強制執行

このような手順を、借り主の相続人に対して行うこともありますが、その相続人がいない場合は相続財産清算人の選任申立が必要となります。

相続財産清算人の選任申立

(相続財産の清算人の選任)
第九百五十二条 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。

しかし、裁判所に予納金を100万円を納付しなければいけなかったり、とてもハードルが高いのです。

例えば、60歳以上の単身高齢者が賃貸人である場合は、残置物の処理に関する条項からなる委任契約書の雛形を作成する。

解除関係事務委任契約賃貸人が死亡した場合、賃貸借契約を終了させるための代理権を受任者に授与する委任契約
残置物関係事務委託契約賃貸借契約の終了後に残置物を物件から搬出して廃棄するなど、事務を委託する準委任契約

あわせて、指定残置物リストを作成して動産とみなし、委任者の死亡から一定期間(例えば3ヶ月など)が経過したのちにできるだけ換価し、廃棄するといった取り決めを書面で残すなどといった方法。

あるいは、そういった補償も含む保険やサービスを利用するなどの対応も必要になってきます。

大家さんの負担については「心理的痂疵あり」の広告等での告知であったり、重要事項説明の必須から、賃料の減額等をしないと入居者が現れないと言ったこともあります。

最近では、見守りと家賃債務保証がセットになった商品もあるので、こういったことも視野に入れた居住支援が居住支援法人には求められています。

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平成25年12月には、生活保護受給者以外の生活困窮者への支援を行う「生活困窮者自立支援法」が策定されましたが、公的機関に繋がれない個人の方がたくさんいます。
地域に住む人だから出来ることを、出来る限り続けていきたい。
個人で活動されている方やNPOなどの団体、また企業様ともつながりを作りながら、どんな状況・環境であっても「自分らしく在る」を大事にして自立していける人を増やすために活動を続けています。

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この記事を書いた人

【茨城県居住支援法人第8号】茨城県内全域において、低額所得者/被災者/障害者/子育てをする者/DV被害者/生活困窮者の方を対象に住まいや生活に関する相談窓口、住まいの情報提供及び公的機関への手続き援助など、物件探しや賃貸借契約の手続き支援、住宅への内覧調整、同行・立ち会い、短期、緊急性のある方への宿泊場所その他日常生活に必要な物資の貸与・提供、日常生活の見守りを行います。

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